持明院「はすの会」高野山の納骨と永代供養墓

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2017年秋期No.54お大師さまの御おしえ“生かせいのち”

はすの会会報No.54(PDF版です。)

お大師さまの御おしえ“生かせいのち”

 “生かせいのち”という標語は、高野山のご遠忌(おんき)の時に生まれ、40年の時が経っています。

 前管長松長有慶様は『生かせいのちはお大師様の御教えの核心である。「人間だけでなく、この世の中のものすべてに命がある」ということを人々に認めていただこう』という主旨をよく話されています。つまり自分以外の他の人々、世界中の宗教や思想の違う人々も私たちと同じいのちを持って生きているのだ、というものの考え方です。自分のいのちも大切だが、他人のいのちも大事である、と。

 お大師さまは、日本人古来の自然や神々を敬う心を基に曼荼羅(まんだら)思想を説かれています。さまざまな仏様が入り混じり調和と秩序を表わし、相互に礼拝、供養し合う仏の世界は私たちに安らぎをもたらせてくれます。曼荼羅で表わされたお大師様の御心(みこころ)は広く大きくすべてのものごとを受け入れていただけます。

 高野山は、お大師さまご入定(にゅうじょう)以来の信仰と清浄の地高野山の信仰(※1)が相まって異教徒でも排除するのではなく、怨親平等(※2おんしんびょうどう)の御心で受け入れています。20万基を超える奥之院の墓石群や日本を代表する多くの企業の慰霊塔が、その事実を顕著に物語っています。

 いま世界は混沌(カオス)の時代が続いています。宗教や民族・文化の違いからテロや戦乱が絶えません。環境破壊の問題も未解決のまま。「一度日本中の人々に、日本人本来の“ものの考え方”を再認識してほしい」と松長管長(当時)の呼びかけで神道の代表者、天台宗の座主の三人による声明を平成23年京都で出されました。「自然との共生」─天地万物に神仏が宿る─すべてのいのちを大切にしよう

 一つの価値観だけで突き進む時代は、決して争いが止むことはありません。お大師さまの御おしえ生かせいのちは、奥の深い素晴らしい言葉です。これからも御教えを学び、よく理解され、心を清らかにご登嶺ください。

※1
高野山の信仰・・・高野山は釈迦如来(前仏)の浄土であり、弥勒菩薩(後仏)の法場に遇うことが出来る。

※2
怨親平等・・・(おんしんびょうどう)とは、戦場などで死んだ敵味方の死者の霊を供養し、平等に極楽往生させること
お大師さま

観光客が増えています

住職
別格本山 持明院
住職 竹内崇雄

 高野山はご開創千二百年大法会(ほうえ)の前後の年からミシュランを初め欧米の有力なガイドブックの推薦も有り、信仰を目的とする方々に加えて観光を目的とされる外国のお客様の上山も増え、’15年には年間二百万人近くがこの地を訪れています。

 このところテレビでも多局で取り上げられていますが、去る6月には、高野山(おやま)で、外国人から見た高野山(おやま)の魅力についてのアンケートを主に興味深く説明していました。

 魅力の6位7位は金剛峯寺と壇上伽藍。建物や立体曼荼羅などの内部仏像の壮大さ豪華さそして美しさに心を奪われています。
 アンケートの4位5位は宿坊と精進料理で異国の衣食住が上位を占めています。3位の「姿見の井戸」は意外で、覗いて顔が写らなければ三年以内に死ぬ、と云われる伝説が興味を唆(そそ)ったのでは…。
 2位には神秘的な佛教体験(勤行・写経や禅)などに参加する事と奥之院に建つ20万基を超える墓石群、どちらも物心一如の教えに貫かれているのを強く感じています。)
 1位は幻想的な町のたたずまい。特に夜と早朝の静寂は、宿泊して初めてわかるとのこと。

 洋の東西を問わず、人の感じる魅力は変わらないものですね。

 観光客の増加は、当院にとっては功罪相半ばします。土日祝などの宿泊が調整を余儀なくする場合も起こってまいります。

 高野山には四季を通し、楽しい祭礼を伴う年中行事、青葉まつり(6月15日・降誕祭)、ローソク祭り(8月13日・万灯供養会)など全山を挙げて修(しゅう)されます。

 法要ご出席を機に高野山とのご縁を深めてください。

合掌

50回忌法要に思う

はすの会代表・上善 嘗二

 法事とは亡き仏さまに思いを馳せて焼香する。先祖から自分そして子や孫へといのち(・・・)の縦(タテ)の流れを確認し、法事の後の会食では、家族はもとより親族の横(ヨコ)の糸「つながり」を確かめる大切な場であると教わったことがあります。

 去る5月3日谷岡家16名、7月2日翁長家17名、それぞれのご先祖の50回忌法要が持明院の本堂において厳かに行われました。

 谷岡家は高知県在住で遠方のため二泊三日の日程で、翁長家は大阪在住の日帰りで出席されそれぞれ幼児を含めご親族皆様が終始和やかな法事でございました。永代供養「はすの会」も創業から24年が経ちました。今年は、7月までに50回忌のご案内をする会員様も25名になり徐々に増えて参りました。しかし施主の方々の高齢化や病気などで高野山(おやま)での法事は少なく、在宅による法事が増えていますが、何れの方々もお喜びいただいております。

 私事で恐縮ですが、昭和十年生まれの小職もあと二年で亡母の50回忌を迎えますが、兄弟も亡くなり娘達も嫁ぎ、承継者も無く、私たち夫婦も齢80を超え法事を営むことができても出席者は、ほんの数名を数えるのみです。

 これだけ多くのご親族による高野山での法事、亡き方のご冥福は、羨ましくもあり、谷岡家、翁長家のご信仰を心から敬い、ご一同様には心からお慶び申し上げます。

 「法事とは亡き人の供養を通してタテ・ヨコのいのちの交わりを確かめる大切な場である」と両家の皆様を通じて再認識いたしました。心から厚く御礼申し上げます。
翁長様ご家族

増える無縁墓─墓守が消える─

 昨年4月11日付日本経済新聞に「増える無縁墓」「墓石の不法投棄」の記事が大きく取り上げられました。それ以前2014年7月30日付朝日新聞にも「墓守が消える」「過疎・少子化各地で墓撤去」の見出しで同様の記事が掲載されていました。

 都市部への人口流入と地方の過疎化に加えて少子高齢化、未婚化という社会の急激な変容がお墓の荒廃を加速させています。

 現在、年間百三十万人を超える人が亡くなっている社会で管理費の滞納者や連絡の途絶えた墓の承継者は、年を追うごとにふくらみ、荒れ果てた墓や不法投棄された墓石を各地で随所に見られます。

 故郷が遠く、墓参りに行けないため改葬(お墓の引越し)する例は年々増えていますが、墓を処分する「墓じまい」も漸増しているようです。

 また直近では、去る7月19日、フジテレビ系朝の「とくだね!」でも無縁社会の現実を取り上げていました。「墓があっても入れない」「孤独死が増えている」がテーマで親や兄弟がいても<遺骨>の引き取り先がない、という事例が増えているそうです。高齢化、核家族化で親族の交流の希薄化が原因のようです。

「墓は社会のありようを映し出す」といわれています。まず自治体から智恵を絞り、官民一体となって墓を無縁化させない仕組みをつくる必要があります。

 神奈川県の一部の市がエンディングプラン・サポート事業を立ち上げたそうです。地域墓や友人墓等『無縁』にしない智恵を絞るようです。

 持明院の永代供養「はすの会」のしくみは、今から24年前に当時の住職が「近い将来このような無縁社会が必ず訪れるであろう」と予知し、誰からも供養されない人、承継者がいない人、お墓を建てることができない人等を対象に考案されました。はすの会の祖霊はいつまでも霊山高野山の奥之院、お大師様のお傍で安らかに祀られています。
朝日新聞無縁墓

無縁墓イメージ1

無縁墓イメージ2


会員便り
いのちを繋ぐ慰霊塔建立

京都府・綾部市 荻野みきよ

 このたび平成二十八年十月、永い間心残りであった事が成就でき感無量です。それは、実家の父と兄が生前に遺した難行苦行の業績を顕彰、碑に刻み、子から孫へ伝えるための慰霊碑を建立することでした。それも特に由縁(ゆかり)の深い最適の地高野山奥之院に。

 お大師さまとのご縁を心から感謝申し上げます。
荻野様の建立された冥福五輪塔
実家の父(二宮源男)と兄(志輔)の業績(・・)とは、これから述べる「みよし観音像」を六甲山上に建立するという大事業に二人が発願人として参加したことに始まります。

◆みよし観音像とその由来
今からおよそ半世紀前の昭和39年2月18日、スチュワーデスとして搭乗していた麻畠美代子さんの機体が徳島に向けて大阪を飛び立って間もなく墜落しました。

 美代子さんは沈着冷静よく乗客を救出されていたが、最後の一人を救けようとして同機の爆発にあい、猛炎の中に「お母さん……。」の一語を遺(のこ)して殉職されたのです。享年21歳、あまりにも儚い生涯でした。当時私は16歳、事故は新聞で知りました。『スチュワーデス火だるま』の文字に強い衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。この事故は当時『日東航空おやしお号墜落事故』として世間をにぎわせました。
みよし観音
 美代子さんは生前、ミス京都・準ミスワールドに選ばれた美しい女性でその上、心の優しい人でもあり、徳島県の孤児院「宝田寮」の孤児達とも日頃から深い交流があり、「ホタルの天使」と慕(した)われていました。

 姿美しく、心優しく、その上悲壮な捨身行を観音様の化身と受け止めた交通遺児の坂井少年は、美代子観音像を建立して交通安全、大空の守りをお祈りしようと発願しました。これに共鳴した五千余人の善意と発願以来6年の永きに亘り支え続けた隠れた功労者達の働きが結晶し、昭和45年「みよし(美代子)観音」の建立が成りました。

◆隠れた偉業・みよし観音像建立の動機
 みよし観音建立の発願人として参加、最後まで支え続けた篤志家父(源男)の動機は、孤児院「宝田寮」の寮長で著名な高僧立江寺(たつえじ)の庄野ご住職との永く深い親交に因るもので、一念発起したと聞いております。

 父は「みよし観音」の建立を祈願し、寄付金を募る活動の他に本願寺や清水寺などの有名な寺院や各界の著名人・文筆家の方々から賛意の署名をいただくことを決意、自費による全国行脚に出かけました。

 奉賛(ほうさん)帳を持参し、北海道に始まり九州を終える頃には相当数に上った、と聞いています。

◆─兄は死を覚悟の裸足詣り─

 兄は二十歳の時結核を患い、左の肺と肋骨を失い、とても健常者とは云えない体でしたが、死をも覚悟しての裸足でのお遍路行脚を決行しました。私たち家族は、兄の病み上がりの背中を涙で見送り、無事の帰りを祈ったものです。

 当時の遍路道は荒れ果て、足の裏は割れた石や棘が刺さり血だらけになっておりました。

 時には遍路宿にも断られ、野宿も多く、蚊や虫に悩まされ夜通し歩いたことも一再ではなかったそうです。この兄の裸足詣りは観音様建立まで再度決行しましたが、私たちの心配とは裏腹に、兄は日を追って元気になり、関係者の方々にはまさに「同行二人(どうぎょうににん)」、兄にお大師さまが重なって見えたそうです。

◆「みよし観音」建立後

 父は篤志家として一層社会事業に精を出すようになりました。また健康を取り戻した兄は遍路巡礼を止むことなく、全国の霊場や札所を歩き続けました。

 「巡礼は多くの人々との触れ合いが大切で人の心や情けがよく分かり、<自利利他(じりりた)>の心を養う修行の場」だと常に話しており、その後高野山で得度(とくど)を受け僧侶「昭尊」になりました。

「みよし観音」建立からおよそ半世紀が過ぎ、事故を知る人も少なくなりましたが、みよし漢音は六甲山上から空・陸の交通安全を祈り、今日も立ち続けています。また高野山からは父と兄がお大師さまと共に私達の淨福を見守り続けてくれると確信しています。

後記
 二宮父子(おやこ)の慰霊塔は荻野みきよ様の念願が叶い、奥之院仏舎利宝塔に座す弘法大師像の前に、荻野家の永代供養墓と並んで建立されました。崇高な、常人には及ばぬお二人の歴史は、次の代にいつまでも語り続けられるでしょう。

兄(志輔)

六甲山麓にある観音像
六甲山麓にある観音像
父(源男)
父(源男)


秋季合同法要のご案内

暑い日が続きますが、さわやかな
高野山の秋風はいかがでしょうか。
皆様には今年もぜひ
お参りにお越しください。

■日時
平成29年9月18日(月・祝)
12時30分~13時10分頃

(法要時間約40分・集合12時15分)
■場所
持明院・本堂
(和歌山県伊都郡高野町高野山455)

■法要料(参加費)
無料
(ご要望によりお布施の受け付けはさせて頂いております)

■ご参加
自由・予約不要

■佛舎利宝塔の参拝時間
 10時~15時30分まで
(合同法要時間中除く)

  • 持明院での法要(合同法要)の開始前後に仏舎利宝塔の参拝もできます。
  • ご親族だけでなく、ご友人などもご参加いただけます。
  • 当日は12時30分ちょうどから始まりますので、15分前までにお越しください。
  • 持明院には駐車場がありますが場所に限りがございますので、できるだけ電車・バスでお越しください。
     ※南海電鉄の特急(こうや号)は、一ヶ月前から予約できます。
  • 高野山は山下より温度が下がりますので、冷えやすい方は念のため羽織るものをご持参下さい。
  • 当日持明院でご昼食をご希望される方は前日までにご予約が必要です。
    ※お一人様2、160円(お子様向けも同じ値段です)。
  • この時期は大変混雑しており、
    前日のご宿泊はお受けできませんので、
    ご了承のほどよろしくお願いいたします。



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